かつお節でだしをとる料理方法は日本独自のもので、他の国では見られません。日本が生んだ独特なうま味文化、それがかつお節です。では、そのうま味とは何なのか、そこから、かつお節のよさを紐解いてみましょう。
視覚、触覚、臭覚、聴覚、味覚の五感によって私たちは食べ物の“おいしさ”を味わっています。しかし、“おいしさ”は五感以外にも微妙な面で影響を受けます。病気をしていたり、心配ごとがあったり、あるいは映画などでむごいシーンを見たあとなどは、たとえ好物であっても、ものをおいしく感じられません。反対に嬉しいことがあったり、気の合った仲間とわいわいいいながら食事をするときは、どんなものでもおいしく思えます。つまり“おいしさ”とは、五感にプラスしてこれらの不確定な条件によって左右されるもので、これといった決まった成分がつくりだすものではないのです。
ところが“うま味”はそれとはまったく異なります。“うま味”は、甘味、酸味、塩味、苦味などと同様に、基本の味の一つです。これらの味はそれぞれが特定の成分によってつくりだされます。たとえば、甘味ならしょ糖、酸味なら酢酸、塩味なら食塩、苦味ならキニーネ、そしてうま味ならグルタミン酸やイノシン酸です。
かつお節はイノシン酸をはじめとするさまざまなうま味成分によって、あのような独特な味がつくられます。“おいしさ”のように、さまざまな好条件のもと、五感を通して生まれるものとはこの点が根本的に違います。特定の成分以外には何ものによってもつくられない味、それがかつお節の“うま味”なのです。かつお節は他国に類のない日本独自の食品です。それだからこそ、かつお節は日本がうみだした独特のうま味文化といえるのです。 |